2023年11月11日
※猫の名前、背景写真は仮です。
小柄な黒猫「チビ」は、短いカギしっぽと深い緑色の瞳を持っていて、誰もがすぐ識別出来る猫でした。
地域猫になった時、幼い印象があったのですが、何度か出産経験があったようです。
最初から誰にでも人懐っこい態度で、控えめな鳴き声で当番を出迎え、足元にからだをすり寄せてきたものです。
地域猫になって3年目、餌場に来なくなったので心配していると、駐車している車の下で猫が死んでいると地域住民から連絡があったのです。もしやとの思いが頭をよぎりました。
車の下と聞いていたのですが、チビは側溝の中でうつ伏せになって死んでいました。重い金属の蓋を外してもらい、固くなった体を引き出すのは心痛む作業でした。
夜は冷え込む季節になぜ側溝の中にいたのかと疑問に思いました。ボランティアの方が言うにはチビはこの中で出産し、子猫を育てていた場所だからと。カラスの攻撃から子猫を守るためだそうです。チビにとってこの車の下の側溝の中が安心して身を置ける場所だったのですね。
地域猫の死はこの後も何度か経験しましたが、ゴミ焼却場に運び込む度複雑な思いが交錯します。死によって厳しい外暮らしから解放され、その死を悼んでもらえる境遇を良しとするか、寒い中で朽ちたように死んでいく猫を目の当たりにしてやはり不幸な猫をなくしたいと強く思うのです。