2023年08月26日
※猫の名前、背景写真は仮です。
「グレ吉」は文字どおりグレーと白の毛色のハチワレ猫です。
ゆっくりとした動作とあまり人を警戒しない態度から、初めからかなり高齢だったと思われます。
活動開始の頃は、その日の気分で1ブロックと2ブロックを行き来し、マイペースな行動は担当者を戸惑わせました。やがて、比較的高齢の猫が多い2ブロックに落ち着いたのです。
無口な猫は地域猫の中にもいますが、グレ吉の鳴き声を誰も聞いたことがありません。
多くの猫は警戒心が薄れていくにつれ、担当者に鳴いて餌の催促をするようになるのに、グレ吉は黙々とエサ皿に向かい、食べ終わるとゆっくりと引き上げていくのです。
グレ吉と「グリ」という名のオス猫2匹の去勢手術をするため、一晩預かったことがありました。TNRを始めたばかりで初めての経験でした。捕獲器に入れたまま風呂場に隔離。一晩中大声で鳴く猫が多いと聞いて覚悟をしていました。ところが2匹とも全く声を出しません。
予想外の静けさに心配になって夜中に捕獲器の中を覗いてみると、グリの低いうなり声に慌てて布を掛けなおしました。
一方グレ吉はというと、なんといびきをかいて熟睡していたのです。環境への高い順応力と肝の据わったグレ吉にアッパレです。
それでも4年目の寒い朝、前年に旅立った獅子丸と同じダンボールの中でグレ吉が死んでいるのが見つかりました。とうとう私たちに一度も声を聞かせないままでした。