2022年09月17日
地域猫活動を始める前のことです。近所で一人暮らしをしていたご高齢のAさんが敷地内に入ってきた1匹のメス猫にエサをやっていました。すると次々と子猫を生みあっという間に10匹に増え、ご近所の皆さんが心配する事態になりました。この事態を何とかしなくてはという思いが地域猫活動を始めたきっかけの一つです。
後日、Aさんを訪ね、地域猫活動の説明をして理解を求めましたが、Aさんは餌を求めてやってくる猫を可哀想に思い、餌やりをどうしてもやめられないと言います。猫たちがこのまま姿を消すことはなさそうでした。
熟慮の上Aさんには庭での餌やりをやめると約束をしてもらい、不妊去勢手術をして地域猫として受け入れることにしました。
ところがその後もAさんは餌やりをやめられず、庭に置き餌をしていました。聞いた話では餌やりをしていた配偶者が亡くなった後、猫達を守っていかなくてはという義務感、そして孤独による寂しさを埋めるためだったようです。
すると当会の立ち上げに関わった猫ボランティアさんが、Aさんの言い分を否定せずに聞き、まずは餌を味噌汁をかけたご飯から総合栄養食に変えてもらうよう根気強く説得。
また高齢の方は猫の不妊去勢手術に対して、費用の負担や、子猫を産んで子孫を残す本能を人間が勝手に奪う事への抵抗が大きいのですが、猫ボランティアさんが手術代を負担して、時間をかけてAさんの心を開いていき理解してもらえました。
こっそり餌やりを頭ごなしに注意しても、問題は解決するどころか人間関係を悪化させる事態を招きかねません。相手の言い分をじっくり聞くことでなぜ餌やりが止められないのかを理解でき、孤独な住民の見守りを行うことにも繋がります。
地域猫活動はこっそり餌やりを監視するだけに止まらず、住民同士が共生していく解決策とも言えるのです。